7月、ある4日間

尹慧瑛

北アイルランド研究

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まもなく初めての子どもの出産を迎える二組の夫婦の日常が、7月10日から13日までの4日間を通して描かれている。出産にむけての不安や緊張、高揚感が、7月12日のオレンジ・パレード前のそれと重ね合わされる。紛争の傷跡があちこちに織り込まれながらも、夫婦と彼らを取り巻く周囲とのやりとりは、どこにでもあるあたりまえの光景である(それにしてもみんな妊婦の前でタバコ吸いすぎ!)。決して交わることのなかった二組の夫婦は、パレード当日、その瞬間を今か今かと待つ夫たちと、いよいよ陣痛に苦しむ妻たちとして、同じ時間、同じ空間を共有する。あらたな命が生まれるとき、そこには〈カトリック〉も〈プロテスタント〉もないはずであった・・・。翌日、母となった二人は、互いに赤ん坊の名前を尋ねあう。ただそれだけのことなのに、二人のあいだに生じてしまう、どうしようもない〈分断〉。ごくあたりまえの日常にひそむ超えがたい壁が、切なく、悲しい。

尹慧瑛

(北アイルランド研究)

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