九州産業大学 国際文化学部

アイルランド演劇研究

河野 賢司

「眠れる野獣」As the Beast Sleeps についてのコメント

 和平合意(98年4月)後の、プロテスタント系UDAメンバーの当惑と疎外感を暗い映像に描き出す。(原作は98年6月初演。標題は束の間の和平―「鬼の居ぬ間に」―を不吉に暗示か。)和平プロセスの進展は、祖国「防衛」の戦闘根拠を覆し、準軍事組織への忠誠は「非暴力」待機へと理不尽な変質を迫られる。冒頭のサッカー・ゲームで、ファウル(不正)に対してはファウルで報復するフレディの姿に、彼の愚直な信念が集約されている。クラブ襲撃にサンドラの関与が示唆され、強奪金の所在は謎のまま終わる原作とは、変更あり。舞台版には登場しない一人息子の無垢な表情も痛々しい。実生活で夫婦関係にあるカイル(仲間はケイルと発音)とサンドラには安定した雰囲気が漂う。鬘販売の『ピース・ピープル』(2000)でも活躍できそうな禿頭の男たちに一抹の哀愁。

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河野 賢司さん 九州産業大学 アイルランド演劇研究

http://ci.nii.ac.jp/naid/110006178827/en/

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