◎映画祭は「キャストに夢中」

アイルランド文化研究会・前村敦

 ケネス・ブラナーやリアム・ニーソン、スティーブン・レイなどメジャーな俳優を多く輩出している北アイルランド。アイルランド出身も含め今回の映画祭の作品には、個性豊かな俳優が多数出演している。パンフレットを見ただけでも、わくわくしてしまう。ここでは、私にとって「オールスター・キャスト」とも言える「ハリーに夢中」の注目の俳優を紹介してみよう。

 まずは、北アイルランド出身の俳優から。トークショーのホストである主人公にこきおろされる政治家を演じるジェームズ・ネズビット。映画祭のパンフレットに「怪演」と書いてあるが、コメディーらしい復讐鬼として「体」を張った演技をしている(見てのお楽しみ!)。映画デビューは英国とアイルランドを舞台にした「ヒア・マイ・ソング」。主人公の友人の役で、いわば狂言回し。そのころは、まだ髪の毛もふさふさしていたような…。これを含め、どちらかというとコメディーの脇役として印象が強いが、映画祭でも上演される「ブラディ・サンデー」では、主役の政治家としてシリアスな演技を見せてくれる。

 主人公の友人の弁護士役、エイドリアン・ダンバーも私の大好きな役者だ。北アイルランド生まれ。「ハリーに夢中」では長い時間登場しないのが残念だが、アイリッシュにとって大事?な「酒」について、主人公との掛け合いが楽しめる。「ヒア・マイ・ソング」では、恋人の愛情を取り戻そうと、アイルランドに隠れている伝説的な歌手を探す主人公で、ジェームズ・ネズビットとも共演。映画祭の上映作品では「ミキボーと僕」などにも出ている。アイルランド関係の映画には欠かせない存在と言っていいのではないだろうか。

主役を務めるブレンダン・グリーソンはアイルランド出身。最近は、ハリー・ポッター・シリーズにも重要な役柄で登場しており、改めて紹介する必要はないだろう。ジョン・ブアマン監督の「ジェネラル」では、アイルランドに実在した伝説の犯罪者役を演じ、評価を高めた。「ハリーに夢中」では、記憶喪失で心だけ18歳に戻ってしまった図体の大きな中年男の哀歓がカワイイ。1970年代のロックファンにとって、彼の「スモーク・オン・ザ・ウオーター」も見もの?。

 女優では、ちょい役でもその容姿と演技が目に焼きついてしまうブローナ・ギャラハーが北アイルランド出身。今回も、エイドリアン・ダンバーのカウンターパートとなる弁護士役でいい味を出している。ダブリンを舞台にした映画「コミットメンツ」でブレーク。「ハリーに夢中」と同じコリン・ベイトマン原作の映画「ディボーシング・ジャック」にも出ている。最近はバンド活動も活発なようだ。

 ブレンダン・グリーソンの妻役は、イングランド出身のアマンダ・ドノヒュー。「ケン・ラッセルの白蛇伝説」や「英国万歳!」で妖艶な演技を見せているが、「ハリーに夢中」では、離婚するはずの夫の心が若返ったことで、微妙な心情を見せる妻を好演している。

 このほかの上映作品では、「オマー」のジェラルド・マクソーリー、「12月の花嫁」のドナル・マッカン、「キングズ」のコルム・ミーニー、「7月、ある4日間」のスティーブン・レイ、ブリッド・ブレナンなどなど…。挙げればきりがない。あとは映画祭でお好みの俳優を見つけてほしい。(了)

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